強い早稲田が戻りつつある。
その原動力は中谷選手を中心とする3年生。中谷選手とともに太田選手が10000m27分台を記録し、全日本大学駅伝アンカーで山口選手が区間6位と活躍を見せていた。今シーズンは故障で離脱気味だったが、千明選手も箱根駅伝に間に合うだろうとされ、この4人が上位進出のキーマンとなった。
さらに2年生の井川選手が成長し、鈴木選手とともに駅伝の主要区間で目途が立った。1年生も辻・菖蒲・諸冨の3選手が全日本大学駅伝に出場し、選手層も厚くなってきただろう。
全日本大学駅伝は全員が区間1ケタの5位だった。箱根駅伝でさらに上位を目指すには山で結果を残せればという状況だった。しかし、早稲田大学は伝統的に山が弱い。片方上手くいっても、もう片方がブレーキとなることが多かった。ここ2年は5区で安井選手の穴が埋められず、区間17→15位と苦戦を強いられていた。
この苦しい山を託されたのは上り下りともに1年生だった。上りの諸冨選手は全日本大学駅伝での粘りが評価されての起用だろう。下りの北村選手は3000mSCが得意で、アップダウンの適正を買っての起用だろう。
往路は序盤から中盤より上といったところだった。井川選手は上出来のスターターだったが、2区太田・3区中谷は12月の日本選手権の疲れもあり本来の走りではなかった。それでも4区鈴木選手が全日本大学駅伝での不調を取り返す走りで8位から3位まで順位を上げた。
ここで課題の5区が来た。3位と好位置だったため、落ち着いて走り順位をキープするだけでも十分に見えた。しかし諸冨選手は序盤からリズムをつかめない。後ろから追ってくる選手に序盤から抜かれ、ついていくことができない。結局山でペースをつかめないまま、まさかのシード権外の11位まで順位を落とし往路を終えてしまった。
こうなるとシード権を確保するのが最低限となってしまった。結局諸冨選手には山でのスタミナ面の不安が払拭できなかったのではないだろうか。序盤から抑えてペースが落ちるのは、不安からリズムを作れずにスタミナ不足で失速してしまったのだろう。終わってしまったから仕方ないが、諸冨選手にはこの悔しさをバネに次回以降結果を残してほしい。
復路は北村選手が下りでセンスの良さをみせた。青山学院大学の高橋選手と上手く競って58分台を1年から記録したのは素晴らしかった。順位こそ上げられなかったが、この走りでシード権獲得がほぼ濃厚になったといえるだろう。結局7区で宍倉選手がシード権内に入ってからは安泰だった。9区の小指選手が上手く長い距離に対応できていたのも大きく、総合6位で終えることができた。
とにかく平地の成績は太田・中谷選手が不調の中で上出来だっただろう。特に2年生の鈴木・小指選手が良く、来年にも期待を抱かせるものだった。ただ問題はやはり5区だっただろう。相楽監督・駒野コーチは5区経験者なだけに、もう少し育成できれば上位進出できるのにという勿体なさがある。昔のように一般入試の選手が山を走らなければならないわけではない。ポテンシャルの高い選手をいかに見極め、指導するかが来年優勝争いをするためには不可欠だろう。
平地の安定感に山の強さが身についた時、古豪早稲田大学の完全復活となる。
第97回箱根駅伝の結果(早稲田大学)
総合順位 6位(11時間03分59秒)
往路順位 11位(5時間35分12秒)
復路順位 4位(5時間28分47秒)
区間 | 選手名 | 学年 | 区間記録 | 区間順位 | チーム順位 |
1区 | 井川 龍人 | 2 | 1:03:17 | 5位 | 5 |
2区 | 太田 直希 | 3 | 1:08:17 | 13位 | 5→10 |
3区 | 中谷 雄飛 | 3 | 1:03:29 | 6位 | 10→8 |
4区 | 鈴木 創士 | 2 | 1:03:03 | 3位 | 8→3 |
5区 | 諸冨 湧 | 1 | 1:17:06 | 19位 | 3→11 |
6区 | 北村 光 | 1 | 58:55 | 8位 | 11→11 |
7区 | 宍倉 健浩 | 4 | 1:04:22 | 8位 | 11→10 |
8区 | 千明 龍之佑 | 3 | 1:04:55 | 5位 | 10→9 |
9区 | 小指 卓也 | 2 | 1:09:28 | 4位 | 9→7 |
10区 | 山口 賢助 | 3 | 1:11:07 | 7位 | 7→6 |
ー | 吉田 匠 | 4 | |||
ー | 辻 文哉 | 1 | |||
ー | 菖蒲 敦司 | 1 | |||
ー | 半澤 黎斗 | 3 | |||
ー | 向井 悠介 | 3 | |||
ー | 室伏 祐吾 | 3 |
まとめ
平地だけならおそらく3位以内だっただろう。
しかし箱根駅伝は山の占める割合が大きいため、山の育成は必須だ。
来年は中谷選手が4年生となり、節目の年となる。3位以内は最低限の目標として、優勝争いを繰り広げてほしい!
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✔本記事の著者
箱根駅伝は小学生の頃から毎年見ており、初代山の神今井正人選手の活躍から知っている
ハーフのPB:1時間25分28秒
フ ルのPB:3時間37分59秒